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PROJECT #01 PROJECT #01
物林の挑戦 | 国産材事業

 物林では国内における森林資源の循環を念頭に、国産材事業の変革を目指しています。従来の業務内容を量的に拡大するのではなく、質を改変しようとする挑戦です。「森林資源の循環型ビジネスの構築」や「森林資源を有する地域と一緒に成長していく」などをテーマに、持続可能な林業や木材産業のサポートを産業的に実現するプロジェクトを各地で手掛け、国産材事業の柱にしていきます。

THREE MAIN COMPONENTS

3つの柱

  • 01

    森林の循環利用を促進

    地域の林業、木材産業との協業で木材サイクルを活性化させる

  • 02

    良質なバリューチェーンの構築

    地元製材工場と首都圏の需要者が有機的に繋がる仕組みづくり

  • 03

    持続可能な経済活動への参加機会の創出

    木材ユーザーの森林づくり支援

MODEL 01

地域産材をつかった庁舎を建て地元林業を産業として復活させる

―山形県西置賜郡白鷹町でのプロジェクト―

最初のミッション

木造の町役場を町有林材で建てる

最終的なソリューション

成熟した森林資源を
持続的な経済資源として
生かす仕組みの構築

町役場の建設から始まったストーリー

 白鷹町は最上川に沿って山形県南に位置する、豊かな天然林と成熟した人工林資源に恵まれた町です。この白鷹町において、町で育った木で、町の人の手により町役場を建て替える計画が持ち上がりました。しかし、森林資源はあるものの伐採する人がおらず、木材加工施設も操業が著しく低迷している状態であったため、物林に相談が寄せられたのです。

 地域の課題を受けて、県外からの伐採業者の手配をはじめ、製材や乾燥の技術的なアドバイスまで行いました。特に、既に伐期を過ぎたスギを余すことなく、町内にある製材工場で加工して活用するため、大断面の無垢平角材(伐採した木材をそのまま長方形の板にしたもの)をふんだんに使用することにしました。

 また伐採したものの、庁舎建設に利用しない丸太のすべてを合板や燃料用チップなどの原材料として町外の業者に販売し、立木全体の価値を高めて伐採事業の採算性を高めました。伐採跡地は地元森林組合により再造林が行われ、次世代のための木材資源がすくすくと育っています。

 物林の有する林業や木材流通のノウハウを提供しながら、地域の課題解決と振興に貢献しています。白鷹町役場には近隣の自治体から取り組み内容についての照会が数多く寄せられるなど、地域に大きなインパクトを与えています。

MODEL 02

安心して森林の若返りに
取り組める長期的な販売協定を
コーディネート

ー栃木県矢板市のプロジェクトー

最初のミッション

持続可能な森林経営への
アクションを考える

最終的なソリューション

木材の安定需給体制を構築する

 2018年、栃木県矢板市の林業・木材産業成長化推進協議会が、5年間を実施期間とする林野庁の林業成長産業化地域創出モデル事業に採択されました。その3年目から、物林はコンサルタントの立場で参加しています。持続可能な人工林への移行、間伐主体の林業活動から主伐と低コスト再造林への大胆な移行や素材の安定需給体制の構築など、いくつもの提言を行いました。

 そして、協議会において地域のステークホルダーと議論を重ね、持続可能な森林経営の実現に向けて「矢板市林業成長産業化推進アクションプラン」をとりまとめました。ここで間伐を主伐に切り替えることにより増大する丸太の供給を、安定した需要に結び付けることが重要になります。その為、物林はその営業ネットワークで他県のハウスビルダーと市内の製材工場を結び付けました。森林から住宅までをつなぐことによって、時として短期的に乱高下する木材の市況に左右されない安定需給体制を確立、安心して森林の整備にも力を入れられるようになったのです。

MODEL 03

使った木材が育った場所に自ら次世代の森林資源を育てる国産材ユーザーの森林づくりを支援

―国有林での企業分収造林プロジェクト―

最初のミッション

国産材のサプライチェーンの
川下のプレーヤーを
森林資源の循環サイクルに乗せる

最終的なソリューション

木材ユーザーによる森林づくりへの
参加をコーディネート

 物林は立木を購入する際は、伐採跡地の再造林が確実に行われることを条件にしています。なぜなら、主伐と再造林のサイクルを維持することで、森林資源を地域の持続的な経済資源に転化していきたいからです。日本全国を見ると、皆伐後に再造林が行われる民有林は3~4割しかありません。このまま皆伐後放置される森林が増加すると、将来の木材資源が枯渇するだけでなく、土砂崩れなど国土保全上深刻な問題となります。

 近年、SDGsや気候変動対策への企業の参加は、業種を超えて重要な課題となっています。物林の重要な顧客である住宅メーカーやホームセンターにとって、持続可能な経営が行われている森林から生産された木材を活用することは、SDGsへの貢献や二酸化炭素の吸収を通じた気候変動緩和への目に見える貢献となります。

 そこで始動したのが、国有林における企業分収造林プロジェクトです。この取り組みは、物林がコーディネートする資源循環型木材流通モデルであり、今後は国有林だけではなく、民有林にも拡大していく予定です。物林は、森林所有者、木材加工業者、木材需要者、消費者までをつなぐ持続可能なバリューチェーンの重要なプレーヤーとしてSDGsや二酸化炭素の吸収を通じた気候変動の緩和に貢献していきます。